柴田勘十郎弓店

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◆京都

「柴田勘十郎弓店の弓」

動画・・柴田宗博さんと杣有介さんの弓作り





5曲線極めた機能美 柴田勘十郎弓店の京弓

なだらかな曲線を描く弓。よく見るとカーブは1つではなく、蛇行した道のように5つのカーブから成る。勢いよく矢を放つのに最適とされる5曲線の構成。京都市で京弓(きょうゆみ)を製作する柴田勘十郎さんは究極の曲線美を出すことに心血を注ぐ。

京都や千葉の竹林で自ら刈り、3年ほど乾燥させた真竹が主な材料。長さ2メートル超、幅約3センチに切ったものを2枚用意し、ハゼノキなどで作ったほぼ同じ寸法の木材を間に挟み、接着剤で貼り合わせる。

これを麻縄で縛り、網目に竹製のくさびをはめ込んでいく。まず外側に20枚前後、次は内側。木づちでたたきながら110枚ほどはめると、独特の蛇行曲線ができあがる。

曲がり具合を左右する、くさびの数やたたく強さを決めるのは経験に基づく勘。二つと同じものがない竹の状態に全神経を傾け、思いをくさびに込める。この工程で「弓の魂が決まる」と柴田さん。接着剤が乾いてからくさびと縄を外し、全体を逆側に反らせて弦を張れば完成となる。

九州の薩摩弓や愛知の尾州弓など様々な弓がある中、京弓の特徴の一つが握り部分のカーブの小ささ。直線に近く船の底のようなラインで、「船底の弓」は弦を引くと全体が1つの曲線のようにしなり、矢が勢いよく飛んでいく。

柴田さんが営む「柴田勘十郎弓店」は、1534年の創業とされる。初代当主は薩摩藩の弓師として仕え、京都に移ると京都所司代から「御弓師(おんゆみし)」の称号を授けられた。本能寺の変で織田信長が明智軍に引いた弓は柴田のもの、との説がある。

当主が代々「勘十郎」の名を継ぎ、この道約40年の柴田さんは21代目。2013年に伊勢神宮の式年遷宮で59張の「梓弓(あずさゆみ)」を納め、皇居で天皇陛下に謁見。労をねぎらわれ、長年の苦労が報われる思いがした。

需要が高いのは1張10万~15万円の品。「時間をかけると値段が上がるから」と機械による一部作業の効率化をいとわない。「多くの人に使ってもらいたいので。芸術品とか工芸品という付加価値が付くのはいやなんです」

息子の宗博さんも製作に当たる同店では弓道の指導を兼ね、国内外の注文者に直接品物を届ける。弓作りの体験会も開くなど顧客本位の姿勢を貫く柴田さんは、昔気質の職人のイメージからは遠い。実際、敬称の響きを含む「職人」の呼び名を好まず「技術屋としてやっていきたい」。

弓ともども過度に一目置かれることをよしとしない。そのスタンスがかえって、今や唯一となった京弓工房のあるじと、弓道の伝道師としての存在感を際立たせる。




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