名残町犀ヶ崖大念佛和賛

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「名残町犀ヶ崖大念佛和賛」


 帰命頂礼(きみょうちょうらい)犀ヶ崖
大念佛のみなもとは
過ぎつる元亀の三ッの冬
三方ヶ原のたたかいに
浜松方は小勢にて
ささえかねたる時しあれ
旗手(はたて)の本多肥後の守
群れ来る敵に渡り合い
はなばなしくも戦死せり
家康公も御危難を
漸(ようや)くのがれ給いしは
これぞ御守護の兜入り
開運地蔵の功力(くりき)なり
その夜謀(はか)りて布橋を
掛けてたばかる犀ヶ崖
武田の勢を陥(おとしい)れ
戦(いくさ)は勝利を得たれども
甲州勢の死霊(しりょう)にて
田畑に虫つき實(みの)りえず
疫厲(えきれい)はやり諸人(もろびと)の
なやむを憐(あわ)れと思(おぼ)し召(め)し
宗圓和尚(そうえんおしょう)という聖(ひじり)
庵(いおり)むすびて念佛の
道場おこしそのうえに
六萬枚の名号を
書きて谷間に納むれば
数多(あまた)の亡霊得脱(ぼうれいとくだつ)し
田畑の虫も疫病も
消えて跡なく成りにけり
此沙汰世上(このさたせじょう)に廣(ひろ)まれば
二百八十餘ヶ村が
こぞって名號乞い受けて
称名(しょうみょう)しつつ道すがら
田畑へ差せば虫気なく
五穀みのりて民安く
諸人(しょにん)の喜び限りなし
これぞ虫除け御札(おふだ)なり
尚も在家(ざいけ)の精霊(しょうりょうの)の
菩提(ぼだい)のためと大念佛
年々となへ来たりしが
草の庵も年を経て
荒れにし事を嘆かれて
有志の方々相計り
一宇(いちう)の寺を再建し
家康公の兜入り
開運地蔵を安置して
現當二世(げんとうにせい)の導師(どうし)ぞと
末世(まっせ)の衆生(しゅうじょう)も仰ぐなり

南無地蔵願王尊
諸人に代わりて苦をば受けたまい
沈む我身をいとわれもせず


名残町犀ヶ崖大念佛和賛



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